先に当時のチェコ スロヴァキアで、新彗星発見に奮闘した「パイドゥシャーコヴァー女史」について述べたが、当時としては、いわゆる「鉄のカーテン」の中での出来事で、その真相についてはほとんどわからなかった。ただ、京都大学の花山天文台に届いた資料によると、スカル ...
昭和の天女
もうずいぶん昔になるが、静岡県を旅した時、清水市の海岸で、天女の羽衣がかかったという松林を見たことがある。「なるほど」と思わす美しい松林だったが、「天女」と言えば、私にも忘れられない思い出があった。 時はあたかも太平洋戦争勃発の少し前の、昭和12年ごろだ ...
宇宙からの跫音
1.マックガン彗星の思い出 事件が起こったのは1948年の秋、私がまだ高校生の頃だった。ラジオや新聞で突然明け方の空に「マック−ガン」という宇宙の怪物(彗星)があらわれたことが報道された。まだ一般にテレビのない時代である。そのころヨーロッパの一部で見られた皆既 ...
はじめて星を見たころ
昭和10年(1935年)ごろだったと思う。中国大陸の、盧溝橋に端を発した日中戦争は「支那事変」と称して、いつ果てるともなく大陸に拡大し続けていた。当時まだ小学校にも上がっていなかった幼少の私は、突然の夜中のサイレンの音で目が覚めた。 「つとむ起きろ火事だ」と ...
奇妙な天体
もうかれこれ20年くらいになるだろうか。芸西天文台で星座を観察していたら、南天に浮かぶ奇妙な天体を目撃した。その天体は僅かに西に向かって飛翔しているようであったが、それはまるで首の長い「鶴」が飛んでいるような姿であった。これは、大気圏内の現象なのかあるい ...
おりょう姉妹の銅像
高知県の芸西村の海岸には、空に向かって手を振っている「おりょう」姉妹の銅像が立っている。 これはすでに小惑星になって夜空を飛翔している「竜馬」に合図を送っている姿にも見える大変珍しい銅像である。1836年の1月3日、坂本龍馬が高知市の上町に生まれたとき、たま ...
白鳥座新星の思い出
1975年8月15日、白鳥座の1等星「デネブ」のそばに突然新星が輝いた。光度は1等から0等の明るさ。輝星が二つ並んで輝く姿は何とも異常で、すぐ新星の出現と判断した。新星の独立発見である。 この日津野町の天狗高原(標高1400m)に天体観測のために出張していた私は新 ...
一輪の花
クラシックギター曲に、ホセ・ブロカ作曲の「一輪の花」という佳曲があった。まだ彗星を発見していないころ高知県大豊町の「梶ケ森」という高山に登った時、水場に咲いたたった一輪の黄色い花を発見した。その孤独性と美しさに心を打たれた私は、もし彗星を発見したら、も ...







