戦時中、米田村に疎開しても当時の旧制中学の学生は学校に行かず、直接勤労奉仕の現場に向かった。私たちは関東軍の駐留する朝倉の荒倉峠で土木作業をした。敵が南方に迫り、敗戦が間近に迫っても、戦局は兵隊たちには知らされず、山にトーチカを掘る作業をしていたのであ ...
米田と芸西村の火玉
父の故郷である、高知市米田の中の谷は、夏は鬼ホタルと怪談の里であった。今でこそ村は開発されて昔の面影は薄いが、昔はよく父と親戚の農家を訪ねた。電車道りの国道から朝倉神社の境内を抜け、赤鬼山の下を小川に沿って、1キロほど北に歩くと「中の谷」の実家に着く。昔 ...
赤鬼山の火
昭和20年7月4日の高知市大空襲から、終戦の8月中旬までの間、疎開先の高知市米田での出来事である。夜になると、すぐ近くの「赤鬼山」の頂上付近に赤い火が灯るという。その光は山頂を徘徊するように動く。村の人は「また灯っている」という。そして「呼んでいる」という。 ...
台風5号接近中
いま南の海を台風5号がゆっくりと北上中です。九州、四国は台風銀座と言われるほどに、よく通るところですが、近年は不思議に四国に上陸する台風は少なかったようです。しかし今回は大型でまともに接近しており気になります。昔の記憶では、幼いころ「第二室戸台風」がやっ ...
初めての天体望遠鏡
私が初めて望遠鏡を作ろうと思ったのは1948年の秋、日食彗星(俗にマックガン彗星1948Ⅺ)が出現したときでした。なにしろ突然の大彗星の出現で、名月で有名な筆山の空に大きな虹となって架かりました。望遠鏡を作ると言っても間に合わず、街には専門店もなく、急遽虫眼鏡 ...
赤い夕焼け空
このところ大気の不安定な日が続き、星の見える日がありません。天体観測と10日以上ご無沙汰しています。早く夕焼けが輝き、夜は虫のすだく秋が待ちどうしいですね。気象衛星では全くの快晴ですが、カメラに写らない雲があって実際とは大違いです。こんなことでは現実には ...
小説「火星兵団」とホウキ星
私が小学生のころには、火星には高等生物が住んで居ると信じられていました。アメリカのローウェルを始めとし、日本の多くの観測者も火星をスケッチして、火星人が掘ったとされる大規模な運河を沢山描き出しました。3-4年生の頃だったと思いますが、毎日新聞系の「少国民新 ...
「ホンダ彗星異聞」
「ホンダ彗星」C/1955 O1が発見されたのは、日本時間の7月30日(今日)の午前4時でした。東南の空に低くオリオン星座が見えていました。実は私も上町の自宅の観測台で夜明け前のオリオンをじっと見つめていました。このころの本田さんは、旧、広島県瀬戸村の観測所で熱心に捜 ...