太古の昔、紙に書くことのできなかった時代には、何か重大な現象を見たときには石や亀の甲羅に彫り付けた、という。日本より北で見えるはずのない「南十字星」が、中国の黄河流域で観測されて、石に刻まれていたのは有名な話である。それは才差の現象によるものである。と言ってもなかなかピンとこないが、プラネタリウムに頼れば、地軸の雄大な回転現象によって、いとも簡単に「なるほど!」と、納得することが出来る。プラネタリウムは、ただ星を観察するだけの道具ではなく、そうした天体の運動の理を勉強するための優れた機械なのである。

 古代から大彗星が出現すると、迷信が流行って世は動転した。特に彗星の王者「ハレー彗星」は76年ごとに回帰して人々を驚かした。その度に偶然大戦争が起こったり、地震や洪水が起こったりして世は混乱した。今日登場する彗星の描かれた石の写真は、昔の手斧である。昔チェコ・スロバキアで発見された。如何に古代の人が彗星にこだわり恐れていたかが分かる。

 我々の生命の源は、遠い宇宙から彗星が運んで来た、という説がある。いま日本の探査機「隼2号」が、小惑星「竜宮」に到達して、やっている仕事はこれに匹敵する。特に宇宙の風来坊たる彗星は、こちらから行かなくても、相手がぶつかってきた。その度に生物の為の有機物を彗星が運んできたのである。我々の祖先は宇宙からやってきた!!宇宙人はいないと言うが、我々こそ「宇宙人」なのである。

 宇宙には「浦島太郎」の小惑星もある。宇宙に竜宮城があるからには、物語の主人公の浦島太郎も登場しなくては話にならないだろうと思って、芸西天文台で発見した小惑星(27790)に最近私が命名した。浦島太郎は、「竜宮」に到着する”隼2号”の様子を、きっと宇宙の片隅から眺めているに違いない。

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