1950年頃だったと思います。ある新聞が”火星から謎の通信”と題して15年ごとに接近する火星の表面に描かれた模様を取り上げたことがあります。その5回の模様を観測した、アメリカのある天文学者はそれを解読して「火星人と地球人は、同じ太陽系の仲間だから、仲良くやっていきましょう」との親善の意味が込められている、と言って話題を投げました。

 1960年代にアメリカのマリーナ計画による探査機が飛んでいくまでは、火星には高等な動物が住んでいる、と信じられていました。そして、その観念の元に内外の多くの観測者が、火星を観測して、奇妙な模様を描いたのです。多くは戦前ですが、まるで人が描いたような、自然に出来たとは思われない綺麗な幾何学的な模様や「運河」が描かれています。丸に十の字や、星型の整然たる模様。それにオアシスからオアシスへと繋ぐ運河の数々。これはすべては、観測者の錯誤だったのでしょうか?

 一体彼らは何を見たのか?夜毎接近してくる赤い大きな火星を見て、私はもう一度、天文台の大きな望遠鏡で確かめてみたくなりました。これは、近代の天文学史上に残る大きな謎です。火星観測者として世界的に有名だった佐伯恒夫氏は、数百枚の運河のスケッチを残しました。そして、マスコミの質問に対して「もはや火星人の存在は否めない」と発表しました。1953年の事です。
 今年の7月31日の晩には、火星が大接近します。芸西天文台では70cmの大望遠鏡を使って、この謎を解明しよう。この晩には火星の大観測会があるのです。参加希望者は、
「高知県文教協会 088-824-5451」までどうぞ。


(写真は19世紀から20世紀にかけて内外の観測者によって描かれた火星のスケッチ。星型の模様に注目)
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