良く晴れた10月も終わりの午後、高知市内のあるデパートの屋上に上がりました。北に正連寺高原の山脈が連なって見えます。池谷・関彗星が輝いたあの頃も、今日の青空のように美しい晴天がつづいたのでした。

 1965年10月21日。近日点を無事通過した彗星は、暁の空に姿を現しました。私たちは連日のように、高知県内のあちこちの山に上がって、その姿を確かめたのですが、10月の末ごろから彗星はその全景を現し、少しカーブした尾が30余り伸びていました。その姿を追いかけたのが、高知市の北に聳える、山脈の上だったのです。

 彗星は、その後やや南寄りのコースを飛んで、やがて南半球の空へと侵入していきました。クロイツ族という、太陽をかすめる彗星のグループに属し、千年足らずで太陽を一公転します。このグループの彗星は沢山あって、前回は1882年に太陽のそばに輝きました。ハレー彗星のように予測が難しく、いつやってくるかわからないというのが面白いですね。太陽系の中で彗星は気まぐれ者です。

(写真は1965年10月、太陽接近中の池谷・関彗星を追いかけた高知市の北山)

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