戦前、古くからアメリカの太平洋天文学会では、新彗星を発見した人にその功績を称える目的で発見賞のメダルを授与してきた。富豪ドノホーの基金によるもので、戦後、この制度は終わった。この憧れのメダルは、いまいずこに輝いているであろうか。

 コメットハンターにとっては、まさに夢の賞であった。日本人では下保茂、山崎正光、長田政二、岡林滋樹、本田実の各氏が受賞した。ここに使用した写真のメダルは本田実氏が、1940年に彗星”岡林・本田彗星”を発見してもらったもので、鳥取県にある実家の金庫の中に隠れていたものが、実に70余年ぶりに発見された。

 ブロンズメダルの色はくすんでいるが、裏面に刻まれた{MINORU HONDA}の文字は、はっきりと読み取れるのである。大戦中、南海に散った岡林氏のメダルは太平洋に沈んだ。しかし”岡林・本田彗星”発見の偉業は、本田氏のメダルによって今なお輝き続けているのである。

(メダルは鳥取天文協会の多賀利寛氏の提供による)
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