写真はアメリカの有名なコメットハンター「マック・ホルツ」と、その望遠鏡です。黒い眼帯をしているのは、片目で覗くために必要のない眼をふさいでいるもので、片目をつむると見え具合が悪いからです。両眼をカッと見開いて、どんな微細な天体でも見えるようにします。
 望遠鏡は反射式ですが、違っているのは赤道儀式にして、発見した天体の位置(赤経・赤緯)を分かりやすくするもので、そうでないと発見した天体の位置を知ることが非常に難しいものです。

 マックホルツ氏は、彗星によく似たメシエ天体に習熟していて、ナンバーさえ言えば全部覚えていてレンズに入れたそうです。戦前のペルチャーに匹敵する偉大な捜索者です。昨年の「マックホルツ・藤川・岩本彗星」の発見は記憶に新しいところです。戦前には、彗星の発見者には相当な賞金が出たことがあります。そしてアメリカの太平洋天文学会から、発見記念の「ドノホーメダル」が贈られました。そして日本天文学会や東亜天文学会から表彰状とメダルが授与されます。

 しかし何といっても発見者の天体が宇宙に輝き、世界的なメモリアルになることが一番うれしい事です。一回発見すると、未来永劫に去って行く彗星もあれば、何年かの周期で帰ってくる彗星もあります。有名なハレー彗星は76年ですが、エンケ彗星はたった3年で帰来します。短周期彗星の100年消滅説をたてた人もいますが、実際には遥かに永く太陽を公転します。

 彗星1個を見つけるに要した時間ですが、イギリスのデニングは119時間。チエコ・スロヴァキアのムルコスが約100時間。私が約900時間。本田さんは記録しなかったそうですが、日本人の平均は300時間くらい。こんなことですから、発見を志した多くの人がその半ばで消えていきました。

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