本の読者だった「神春」が消えてから20年の歳月が流れていた。その後、毎日新聞の地方欄に、星の連載をやっていたところ、高知県も幡多郡の足摺岬の近くに住むという二人の老人が訪ねてきた。なんでも岬から投身自殺する人を助けるボランティアをしているという。私の新聞連載を読んで、何か思い当たることがあったらしい。
四国の最南端の足摺岬は、海抜70mの高台に美しい灯台がある。この灯台の下に海からでないと見られない洞穴があるという。普段は波が荒くて洞窟には入れないが昭和25年頃、当時の吉田市長が、洞窟を奥まで探検したものに100万円の賞金を出す、と発表した。早速何人かの地元の人や団体が小舟に乗って探険を試みたが、ことごとく失敗した。NHK高知放送局も探険に同行したことがあった。ラジオの時代である。
灯台のある断崖から飛んでも、直接海に落ちることは少なく、大概が途中の岩場や松の木に引っかかるという。私を訪ねてきた人も、そうした人を助けて介抱しているという。そういえば灯台の見える断崖に「ちょっとまて」の看板が立っているのを見た。灯台のある高台から眺める大海原は、海が球形に見える壮大な眺めだ。遠くの水平線を一隻の白い汽船が浮かんでいる。外国に向かうのか、遠いので汽船はほとんど動かない。
ボランティアの方は、15夜の晩には大きなウミガメが洞穴の中から泳ぎ出てくるというこの地の伝説や、飛び降り自殺した人の死骸は、多くが潮流によって、洞穴の奥深く吸い込まれて行く、といった怖い話をしていたが、やがて本題に入ったとき、私はただ唖然として彼の顔を見つめた。身を投げた人の後に、一冊の星の本が置かれていた、というのである。それも”未知の星を求めて”が・・・・。
(足摺岬の灯台の下にある底なし洞窟)


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四国の最南端の足摺岬は、海抜70mの高台に美しい灯台がある。この灯台の下に海からでないと見られない洞穴があるという。普段は波が荒くて洞窟には入れないが昭和25年頃、当時の吉田市長が、洞窟を奥まで探検したものに100万円の賞金を出す、と発表した。早速何人かの地元の人や団体が小舟に乗って探険を試みたが、ことごとく失敗した。NHK高知放送局も探険に同行したことがあった。ラジオの時代である。
灯台のある断崖から飛んでも、直接海に落ちることは少なく、大概が途中の岩場や松の木に引っかかるという。私を訪ねてきた人も、そうした人を助けて介抱しているという。そういえば灯台の見える断崖に「ちょっとまて」の看板が立っているのを見た。灯台のある高台から眺める大海原は、海が球形に見える壮大な眺めだ。遠くの水平線を一隻の白い汽船が浮かんでいる。外国に向かうのか、遠いので汽船はほとんど動かない。
ボランティアの方は、15夜の晩には大きなウミガメが洞穴の中から泳ぎ出てくるというこの地の伝説や、飛び降り自殺した人の死骸は、多くが潮流によって、洞穴の奥深く吸い込まれて行く、といった怖い話をしていたが、やがて本題に入ったとき、私はただ唖然として彼の顔を見つめた。身を投げた人の後に、一冊の星の本が置かれていた、というのである。それも”未知の星を求めて”が・・・・。
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