昨年は火星の接近でにぎやかな天界でしたが、その火星も西に去って、夜半には木星や土星の豪華な惑星たちが東から姿を現してきました。観測会では四つの明るい衛星の見える木星や、環の美しい土星を見せるのが、一番楽しんでいただけるように思います。

 この半世紀ほどの昔までは、火星は謎の惑星でした。南北に走る不思議な運河だとか、あるいは大接近ごとに見える幾何学的な模様の謎を追って、多くのアマチュア天文家たちが挑戦しました。その頃天体望遠鏡を持って惑星の観測を始めた人は、その大半が火星に興味を持ち天文人口が大いに増加したのです。私の友人にも火星の観測者がいましたが、それは学術と言うより、火星人への好奇心の塊でした。

 当時は今のようにCCDを使った優れたカメラがありませんでしたので、多くの観測者が経験に頼った火星表面の模様をスケッチしました。彼らの念頭には、実在すると思われた火星人のイメージがあるものですから、その多くは大小の運河や人工的な模様が描かれました。先入観というものは恐ろしいものですね。1960年頃だったでしょうか?アメリカのロケット(マリーナ)が飛んで行って上空で写真を撮るまで、火星の運河は実在すると思われていたのです。
(写真は人気の惑星の大きさ比べ。下が問題の火星ですが、写真では運河は見えません)

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