5月の初めに芸西天文台で見た三日月です。これから観測を始めようという時、暮れなずむ西の空に神秘的な月がかかって、しばしみとれていました。昔は空が暗く、三日月の幽かな光も地上を照らし、おぼろげな光景を醸し出したものです。

「月影の細道を歩きながら、水色のハンカチに包んだささやきが・・・・」とか、「鶏小屋の中もおぼろげな月の光と影ばかしであった・・・」とか、文学での表現によく使われたものですが、今は地上の夜景が明るくなって、蒼い神秘的な月光を感ずることが無くなりました。

 しかし芸西の天文台は静かです。昔のままの夜があります。幽かな三日月の光に照らされた田野を眺めながら、彗星の観測にはげみました。昨年の暮れに発見された明るい「岩本彗星」は相当に暗くなって、芸西の70cmでも見えなくなっていました。そのうちに、また明るい彗星が現れることに期待しましょう。

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