1945年の戦時中、高知市が大空襲を受けた7月4日、防空壕の上には平和な七夕星(織女星)が輝いていた。大戦下の暗黒の夜空での初めての出遭いであった、B-29の大空襲によって町が壊滅する僅か1時間前の出来事である。

 「星空には平和がある」初めて見る七夕のころの星座にみとれているとき、空は轟々という爆音が渦巻き、やがて焼夷弾による空襲がはじまった。町も空も河も赤く燃えた。

 中学2年生であったが、それまで星と出会うチャンスは全くなかった。灯火管制下の夜だからこそ、夜空は暗く、20万の町の空に星があった。そして優しい星座との対話があった。もし戦争に出遭わなかったら、私は天文学とは別の世界を歩いていただろうと、ふと運命の奇遇を思うのである。

(写真は七夕様のころの職女星ベガ。一番上の輝星)
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