長かった梅雨もようやく明け、夏の天の川がやってきました。今は明るい彗星こそ見えませんが、7月の下旬から、そろそろペルセウス座の流星群が、活動を開始します。ピークは8月12−13日ですが、夜半過ぎの東北天に見られるペルセウス座から放出される流星に注目してください。

 この流星群(母彗星)の記録は遠く紀元前の−68年にあります。周期は約130年で1992年まで6回出現した記録があります。特に面白かったのは前回の1992年の出現で、予測されていたにも関わらず、なかなか現れないので、OAAのH氏は「すでに通り過ぎた」と主張されました。しかし富山天文同好会の会長は、同県に古い出現の記があり、「間もなく大彗星が出現する」と主張。私もこのような明るい彗星が現れて、天空に何ヶ月も滞在するのに、世界に散在する多くのコメットハンターが見落とすはずはない、という事を主張しつづけました。この対立は世間の注目を集めましたが、軌道計算の大家も、実際に観測をやらない方にはこうしたことは苦手でしょうか、問題の彗星は予定より数年遅れて、堂々と出現したのです。写真は、その時の雄大な姿です。

 この逆行の彗星の軌道上を地球が交差するのは毎回8月の中旬で、このころ沢山の流星が見えます。毎年安定した出現を見せるのは、長い間に流星の物質が、その軌道上に満遍なく分布しているからでしょう。中には”火球”と言われる大流星も混じっており、私が1950年の8月12日の早暁、南天に見た火球は満月に匹敵する物凄い明るさと音響を伴いました。彗星の捜索を始めた記念すべき最初の日で、それはコメットハンターとしての門出を祝う天からの"祝砲”でもありました。

(写真は芸西の60cm反射望遠鏡で撮影したスイフト・タットル彗星P/1992 S2。1992.11.27.Seki)

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