2018年02月

 私が初めて覚えた星座は「オリオン星座」でした。冬の田舎のあぜ道で父から教えられたのですが、あれから半世紀以上たっても”三ツ星”は均整の採れた美しい感覚を保っています。 オリオン星座が夕方南中した時、三ツ星の少し下(南)にボーウッとしたガス星雲が見えます ...

 きわめて寒い冬の日が続いていましたが、雨の止んだ日、久しぶりにいつもの散歩道を歩いていましたら、あちこちに早春を告げる赤い桃の花が咲きほこってました。そして鏡川の浅瀬には、いつも孤独なシラサギがとまっています。若山牧水の、「しらとりの歌」をふと思いだし ...

 その夜は野良猫もやってこなかった。 屋根の上に設置された狭い観測台は、異様な静寂に包まれていた。物音と言えば、遠い宇宙からやって来る星の光が、古い屋根瓦らを叩く様な幽かな音と、10kmも離れた海岸(桂浜)に打ち寄せる波の音だけ。1960年代の高知市の上町は、車 ...

 大阪に一基あるだけで、日本にはもとより東洋には他にないと言われた本格的なプラネタリウムを、すべて手造りで完成させたのは見事であったが、高知県の様な田舎では、天文学の様な科学は低調で、一般に受け入れられるはずが無かった。その後、五藤氏の寄付によって60cmの ...

 怪奇推理小説の「まだらの紐」は、やはりコナンドイルの原作だった。1947年頃、NHKのラジオで放送されたとき、翻訳者としての海野十三が登場した。「まだらの紐」とは物語では毒蛇の事で、就寝中にこれが紐を伝って天井から降りてくるという設定は身の毛がよだつほどに恐ろ ...

芸西天文台は山の中ですから、いろんな動物がやってきます。ドームの下の深夜の谷底から異様な鳴き声がしますが、その正体はわかりません。もっとも多く見かけるのが狸、野ウサギ、きつね等でしょうか。珍しいところではイノシシにニホンカモシカの一家数頭。それに徳島県と ...

 私が彗星の観測や発見を始めたころにはデンマークの首都コペンハーゲン天文台が天文の中央局であった。新しい発見や重大な観測があると、必ず日本のセンターたる東京天文台を通じて国際電報を打った。一方彗星の重要な観測や計算はアメリカのハーバードやスミソニアンに集 ...

 ある朝書斎の窓から眺めると、一面の銀世界でした。高知市内では、今年になっての初めてのまとまった積雪です。子供のころは大雪もあって、道路に雪だるまを作ったり、雪合戦をやった記憶もあります。 道路の向こう側の古い低い屋根のあちら側に観測所がありました。当時 ...

 1950年、”帯屋町筋での”産業博覧会”の開催期間中に設立された天文館はプラネタリウムが中心でした。東洋で2番目の珍しい天象館という事で、その人気は全国に高まり、その年の5月、昭和天皇が四国を巡回した時の見学コースに入っていました。 その頃、たまたま皇太子が ...

 「ペラインは一体ったい何処に行っただろう?」1909年以来、半世紀近くにわたって姿をくらましている彗星に、多くの天文家は疑問と絶望の影を忍ばせていました。とっくに宇宙という闇の中に永遠に姿を消したと思っていました。その足取りを追って、東京天文台で、コツコツと ...

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