私の本棚には一冊の古い天文学の本がある。岡本先生が出征するとき別れに戴いた本である。それにはあるいきさつがあった。 昭和15年頃だったと思う。父の出身地である高知市外の米田の親戚で秋の神祭があって出かけた。帰りは遅くなって停留場までの2kmほどのあぜ道を提灯 ...
2019年08月
ああ岡本先生
私が生まれた頃は日中戦争のさなかであった。中国での盧溝橋事件に端を発した日中戦争は、果てしない大陸で拡大していった。これを危惧したアメリカは中国を援助し、やがてそれが世界戦争に発展して行く事は必至であった。学校でも次第に軍事教育が行われるようになり、国 ...
第四小学校の星
私の通っていた高知市上町の第四小学校は、一世紀半の永い伝統を誇る学校である。その校区に坂本龍馬の生誕地を持つ関係で、何かにつけて龍馬の業績が語られた。古い講堂の演台の上には有名な龍馬の大きな肖像画が掲げられ、校長は何かの式典の時には、龍馬の偉大さを語っ ...
山小屋の怪
小学生のころには、遠足で高知市の南に聳える鷲尾山(300m)によく登った。南には眼下に浦戸湾や太平洋が見え、正に絶景だった。成人してからは、四国の山で大自然がそのまま残されているという三嶺(1880m)に登った。彗星発見を志しながら果たせず、苦難の人生を歩んで ...
幽霊屋敷の中の天文台
1948年12月、友人の家で観測中に現れた奇妙な紳士、それは一体何者なのか?その横顔を見た瞬間、何ゆえにそのように驚かなくてはならなかったのか?それにはある重大な過去の秘密が絡んでいるのであるが、その事は一旦筆を休め、ここではその少し前に体験した不思議な出来 ...
初めての天体望遠鏡
「自分で作った望遠鏡で天体を見る」これほど楽しいことはありません。芸西天文学習館では、毎年夏休みの頃を利用して、望遠鏡作りの講習を行なっています。材料費は2,000円位ですが、設計図も付いており、また講師が助けてくれますので100パーセント出来ます。早速、その晩 ...
星と幽霊
今や夏真っ盛り、各地で”幽霊屋敷”が流行していますが、星空にも幽霊はいるようです。明るい恒星のそばに「ゴースト」と呼ばれる幽霊が見えることがありますが、それは彗星そっくりの形をしています。古今東西を問わず、彗星を探している人(コメットハンター)の多くが ...
「未知の星を求めて」異聞
1966年、初めて出版したノンフィクション「未知の星を求めて」には様々なエピソードが発生した。地元の「高知新聞」に連載中から多くの反響があった。県内に住む若い女性の手紙には、「もし私が人生でつまずく様なことがあったら、もう一度この本を読み返してみたい、、、 ...
8月16日の怪
昭和20年8月の終戦のころは炎天の晴れた日が続いた。毎日学徒動員としての作業に出かけていても、雨に降られた記憶は全くなかった。8月15日に、終戦を告げる”玉音放送”があったが、県下で働く兵隊たちの多くは知らなかった。普段と何ら変わらない軍事作業についていたの ...
流星群の火球をキャッチ
ペルセウス座群の流星の出現する極大の日の午前0時、遂に火球を捉えました。即ち自宅二階のベランダにセットしたカメラの24mm広角レンズが撮影に成功したのです。画面に見えている恒星の一番明るい星は1等星と思われます。流星は約2秒間青く輝き、最後には僅かに炸裂して ...