ここで言う「ファーストライト」とは旧芸西天文台の60cm反射望遠鏡のことである。1980年に完成した60cm反射望遠鏡は一種の天体写真儀であった。三鷹の20cmに比べてはるかに強力で、沢山の小惑星を発見した。また多くの周期彗星の検出発見に貢献した。口径60cm、F3.5は視野 ...
2020年08月
二つの天体望遠鏡
三鷹市の旧東京天文台には、奇妙な二つの天体望遠鏡があった。その一つは口径20cmのツアイス製の彗星捜索鏡であり、もう一つは、これも20cmの天体写真儀であった。鏡筒が大きいので、口径が30cm位の反射望遠鏡のように見えるが、これも屈折式である。当時の東京天文台の主 ...
ハレー彗星と虫の音
暑かった8月も過ぎゆき、そろそろ秋風が吹いてくる頃になると、芸西村の天文台の周辺では秋の虫たちが盛んにすだくようになる。しかし、最近は夏の蛍にしても、秋の虫にしても、ひと頃よりはその勢力が衰えた気がする。しかし1984年のハレー彗星は秋の虫の音に誘われてやっ ...
ハレー彗星奇談(1)
ハレー彗星は今、遠日点(太陽から最も遠い位置)の近くにあります。あと40年も経てば再び、近日点に帰ってきて大騒ぎになるでしょう。しかし人間の一生から考えると、それは長い歳月です。 私が1948年にOAA(東亜天文学会)に入った頃に丁度ハレーはその遠日点の近くにあ ...
8月16日の怪
大平洋戦争の終結した翌日の8月16日、私たち一家は高知市の米田という父の故郷で生活していた。天皇陛下の玉音放送があって、国民の多くは敗戦を信じていたが、中にはこれを敵の謀略とみて、最後まで戦う決意をきめている者もいた。そうした過激な人たちに、真相を知らせよ ...
コロナウイルスと天文台
天文学でいう太陽コロナとは、皆既日食の時見られる太陽周辺の青白いガスのことである。非常に美しい光芒で、皆既日食の起こるときには、この美しいコロナを観たいために世界各地に出かける。 最も昔は、岐阜県の乗鞍岳の頂上に東京天文台があって「コロナグラフ」と言う ...
火星人の”丸木”がやってきた
去る8月15日の芸西天文台での観測会は絶好の観測日和に恵まれました。夜半が近くなると木星・土星の惑星が真南に近くなって、大変見やすい位置に来ました。当夜はシーイング(大気の動揺による見え方)も絶好で光学系の精度が云々されるほどに落ち着いてよく見えました。 ...
終戦の日の観測会
昨日8月15日は終戦記念日でした。今から遠く昭和20年の8月15日も、同じ様な雲一つない暑い好天の日でした。当時を知らない人たちが30名ほどで芸西の天文台に集まって観測会を開きました。 折から南天に並んで太陽系最大の惑星、木星と土星がなんといっても今夜のメインで ...
月面の怪光
月を天体望遠鏡で見ると大小無数のクレーターが見える。これらの多くを噴火によるものと考えた学者もいたが、これらは、無数の隕石の落下によってできたクレーターである。 今から100年以上昔になるが、月面への隕石の落下を目撃した人がいた。月の背面近くに落下したが、 ...
火星から謎の通信??
私が天文を始めた頃、こんな見出しで地方新聞に火星の事が報道されていた。ちょうど15年ごとの大接近のころで、内外では多くの惑星の観測者が火星の観測に集中し、観測合戦を繰り広げていた。 当時はみんなスケッチであった。今のような高感度なCCDカメラは無く火星表面を ...