1882年の9月中旬、南半球を航行中の汽船の中から、突然太陽のそばに輝く異様な天体が発見された。船の甲板では、大騒ぎになって、多くの乗客がこれを目撃した。これは”クロイツ属”と言われる、太陽をかすめる彗星群の一つで、間もなく彗星は太陽から0.008天文単位以内に ...
2020年09月
赤鬼山の上のオリオン星座
写真は往年の名鏡、60cmの反射望遠鏡で撮影した最後の画像です。この五藤式反射望遠鏡は1980年から2010年頃にかけて活躍しました。主に多くの小惑星や彗星を観測しましたが、まれにこうした観賞用の写真を撮りました。濛々と煙るガス星雲(M42)の中に、若い微光星が見えて ...
嗚呼「岡本」先生
三嶺のガランとしたヒュッテの中に大きな衝撃が走った。第四小学の時、私たちを教え、戦火の大陸で消息を絶ったはずの先生の名がそこにしたためられてあった。「岡本敬一」それは私が3年〜4年生の時お世話になった先生の名であった。 生まれつき病弱であった私は小学校 ...
三嶺(みうね)登山
1961年の夏は長かった。今年のように9月に入っても暑い日がつづいた。その中旬だった。急に思いついて昔から計画していた三嶺登山を決行した。三嶺は高知市のはるか東、徳島県との県境に立つ海抜1893mの高山である。自動車道はなく、四国では唯一の大自然の残された山で ...
ポン・ガンバート彗星の再来
フランスのポンは19世紀を代表する彗星の捜索家であった。パリの天文台の門番をしながら生涯28個もの新彗星を発見した。このポンがガンバートと共に発見したのが273P/Pon-Gambartである。最も発見当初は、普通のパラボラ軌道の彗星と思われていたが、東京天文台の小倉伸吉 ...
薔薇(ばら)星雲
宇宙に散在する星団や星雲には、その形状が地球の国の形や物体とそっくりの形をしているものがあって興味は尽きません。ここに紹介する”ばら星雲”は、カラーで撮影すると赤い色をしたバラの花そっくりです。しかも真ん中にトンネルが開いていて、もしロケットで抜け出た ...
夕空の怪
9月13日の夕空です。自宅3階の屋上から見ました。夏から秋にかけての急激な大気の変化で、奇妙な雲が発生しました。熊や恐竜のようにも見えます。 ここは大正の昔、蜃気楼の見えた場所で、祖父が「騎兵たちが原っぱで駈けている風景が逆さに映った」と言っていました。昭 ...
時代を動かした小さな天体望遠鏡
いかにも侍時代を思わせる”遠メガネ”である。土佐24万石最後の殿様山内容堂公の愛用した天体望遠鏡らしい。金属部は真鍮製で、鏡筒は木製の美しい漆塗り。ドイツの光学会社の名門「シュナイダー」の刻印がある。シュナイダー社は今も残るカメラのレンズ会社である。この ...
私とアンドロメダ大銀河
秋から冬にかけて東北の空にボウーッと輝く大星雲(銀河)です。肉眼で見える唯一の系外星雲で、我々の銀河宇宙と同じ規模を持っていると言われています。1億5千万個の星(太陽)の渦巻きでしょうか。極めて遠い将来には我々の銀河宇宙と衝突して合体すると言われています ...
ジヤコビニー・ジンナー彗星
これは今から100年以上前の1900年に初めて発見された周期彗星です。かって大流星雨を出現させたことのある彗星で、周期は6年半。比較的明るいので簡単に撮影できます。このところ芸西の60cm名鏡による作品を紹介していますが、芸西の旧60cmはFが3.5と明るく、視野が広いの ...