作曲家、武政英策氏の収集した「土佐わらべ歌」は数十曲に及んだ。古くからの素朴なメロディに、立派な伴奏を付けて完成した幾つかの有名な曲が、NHK高知放送局の女性合唱団によって全国中継された。中でも「亀の子」という子守唄は可憐な旋律で、ギター1本の伴奏がいいと ...
2021年11月
土佐わらべうた(1)
土佐には昔から沢山の”わらべ歌”があって、子供のころはよく愛唱した。トンボトンボおとまり あしたの市で 塩こてねぶらそ これは塩市という有名なわらべ歌であるが「ねぶらそ」と言うのは、なめさせようという意味の土佐の方言である。また「お月灘」は高知県の ...
芸西天文台の熊の怪
あれは、もうかれこれ30年近く昔になるでしょうか。1990年頃のおぞましい記憶です。芸西天文台が、五藤式の60cmの天体写真儀であった時代、観測会の終わったひと時、私は望遠鏡でじっとアンドロメダ座の幽遠な銀河を見ていました。するとドームのすぐ北の丘で、けたたまし ...
嗚呼「未知の星を求めて」再発行
半世紀の歳月が流れました。ようやく12月4日に新装なった本が完成することになりました。そして芸西天文台開館40周年記念の日(12月8日)から、一般発売されることになりました。本の再編集から校正に至るまでの、協力して下さった皆様に心より感謝いたします。 表紙は ...
部分月食中の月
高知市上町の自宅3階からの観測です。17時50分ごろの月です。皆既月食に近いので、月はまだまだ小さくなっていきます。しかし、市内では空が明るいので、総体に赤銅色の月は薄いです。 画面下に見えているビルは「はりまや橋」方向のホテルの明かりです。久しぶりの皆既 ...
獅子座流星群の思い出
毎年11月18日は、獅子座流星群の活動する時期である。最近はやや低調であるが、それは周期30余年の母彗星が遠い事と、長い間の惑星の摂動によって、彗星と地球の軌道が微妙にずれているからであろう。今は1時間に数個を数えれば良い方であるが、思い出すのは20年ほど昔の ...
金星の輝き
夕空に宵の明星としての金星がいよいよ輝きを増してきました。光度はマイナス4等以上にもなり、空が良く澄んでいたら、白昼の空に見られます。戦時中の1943年頃、勤労奉仕で山で作業している私たちは、天心に輝く金星を発見し、高空を飛ぶ敵の飛行機(B-29)とまちがえま ...
蟠蛇森(ばんだがもり)の星空
蟠蛇森(ばんだがもり)は高知県須崎市の北に聳える標高700米の山である。すぐ東に夏山で有名な虚空蔵山がある。1965年10月21日、「イケヤ・セキ彗星」が、太陽面に突入した時、翌朝確認のために登った裾野の雄大な山で、頂上の東の端に、電波中継の鉄塔が建っている。 登 ...
夕月の唄
喧噪を極めた町も、ようやく夕暮れに包まれ、夕空にはぽっかりと月齢4日ほどの月が浮かびました。よく見ると宵の明星、金星も光っています。そうです、昨日は金星食(月による金星のかくれんぼ)があったばかりですが、高知県では、あいにくの曇天で見えませんでした。 ...
テンぺル第2彗星と百済氏
テンペル彗星は今から遠く1873年にイタリアで発見された彗星である。周期は5年余で、比較的明るく毎回確実に発見されていた。ところが1935年頃太陽との位置関係が悪く3周期「15年余」ほど見失われていた。その頃、僧侶で天体軌道論の大家であった百済教猷氏(京都大学) ...