「自分で作った望遠鏡で天体を見る」これほど楽しいことはありません。芸西天文学習館では、毎年夏休みの頃を利用して、望遠鏡作りの講習を行なっています。材料費は2,000円位ですが、設計図も付いており、また講師が助けてくれますので100パーセント出来ます。早速、その晩に見える天体に向けます。子供たちにとっては、かつてない感動でしょう。月のクレーターやチャーミングな土星の環なんか一生忘れることはできません。

 そうした子供たちがこの8月24〜25日に、梶ケ森に行って天体を観測するのです。他に様々な催しもあって、学校では滅多に習ったり体験したりすることの無い科学教育が行われています。私は少し遅れて18歳位の時、初めて廃物を利用した天体望遠鏡を作って、宇宙に挑みました。その感激は70年たった今も鮮烈に私の脳裡に生きています。

 高校3年生の時でした。前にも述べた”本田彗星”が発見されたのです。星の好きな友人が「僕んところに来ないかい? 望遠鏡があるよ」と言って誘ってくれました。「彗星はどうやって見分けるんだい?」と質問すると、「尾を引いているからすぐ分かるさ」と簡単に答えました。

 その晩、1kmほど歩いて彼(川村君)の家に行きました。月の照った広い庭に一台の望遠鏡を立て、彼は一心に覗いていました。半月が庭の片隅のケヤキの木の梢にありました。「見えたよ!」と彼は突然叫びました。視野を変わって覗くと、なるほど小さな白い天体が糸の様な細い尾?を引いて輝いていました。1948年の12月だったでしょうか?年月が判然としません。
 
 最後に「月を見よう」という事になって、望遠鏡を門の外の道路に出しました。庭の木が邪魔していたのです。道路で変わるがわる覗いていると、靴音がして、一人の若い紳士が近づいてきました。
「何か見えるかね。僕にも見せてくれたまえ」と言ってレンズに眼を当てました。接眼レンズをのぞく紳士の横顔を見た瞬間、私は「アッ」と驚きました。しばらく茫然としてそこに佇んでいました。
(夢ではないだろうか?)そこには信じられない人の横顔があったのです。

(写真は冬の夜空を彩るオリオン星座の大星雲)
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