「中秋の名月」の観望会、という事で9月15日、16夜の月を見に高知市の五台山に行きました。低い山の上の「牧野植物園」界隈は観月の大変な人でした。
 月の名所としては桂浜が有名で、まだ20歳のころ16夜の月を見に行っ
たことがあります。15夜では、夕暮れのまだ明るい時、既に月が登っていて、東の海から次第に登って来るという風情はありませんが、16夜では暗くなって、地平線から静かに登って来る月を鑑賞出来ていいです。あの時は、ベートーベンの「月光のソナタ」が演奏されていて気分満点でした。
 今回は月の登ると共に、異様な胡弓の音が響いていました。しかし、それにしても、この赤い月はどうしたことでしょう。地上5°の高さから見え始め、まるで血ぬられたような不気味な色合いです。地上10°の位置で、写真に捉えましたが、やはり真っ赤です。この時私は思い出しました。
 あれは確か終戦の年の初めての冬でした。緊急の用事があって夕刻、母と共に高知市の北の街を歩いているとき、東南の低い筆山の上に真っ赤な、お化けのような満月が昇っていました。母も私も思わず頓狂な声を発しました。
 その頃は天文に興味を持ち始めた頃で、私はてっきり皆既月食が起こっていると思っていました。
 あれから60年もたって、同じような不気味な赤い月を見ました。結局低空のために赤い光となったのだと解釈しました。しかし、そのような条件はあれから多々あったのに、珍しい現象でした。
 名月を観賞する人の多いおぼろげな林の中から、まだ不気味な胡弓の音が響いていました。

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