「ジャコビニ彗星」と聞くと大昔、、大流星雨を降らせた彗星を思い起こします。この彗星に関する流星は最近聞きませんが、有名な彗星です。結構明るくて小望遠鏡でも見られます。最初の出現は1900年らしいです。

 60cmが完成して約5年後の1985年に撮影しました。彗星は先の星団と違って固有運動をしていますから、正確に赤道儀で追跡するだけでは流れてしまいます。明るいものは強力なファインダーで見ながら鏡筒を微動追跡するのです。眼で見えないものは、案内望遠鏡のクモ糸を見ながら計算どうりに筒を移動させて行きます。

 こうすることによって、彗星は点像になり、背後の恒星が流れてきれいな線を引きます。こうして1985年7月14日、60cmで15分間の追跡撮影を行いました。
 しかしその後デジタル化が進み、望遠鏡はパソコン制御の非常に正確な追跡にかわりました。つまり目的の彗星の軌道要素を入力しておくと、望遠鏡は彗星の固有運動に合わせて自動追尾撮影するのです。

 芸西の60cmは30年間活動し、遂に電子化の波にもまれて旧式として、引退を余儀なくさせられたのです。この時私の案は、優れた光学系はそのまま残して、駆動部分のみ近代式に替えれば良い、というものでした。性能は一段と向上し、しかも安くてすむことになります。しかしこの提案も、県は古いしきたりにこだわって、日の目を見ることはありませんでした。

(写真は60cm+トライXフィルムにて15分間のガイド撮影、彗星は10等、コマ約
60″)
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