ある冬の朝、いつも通る「築屋敷」の散歩道を歩いていました。立派な石垣の門構えの家が続きますが、住人がいなくなって空き家になった家も多いようです。垣根に黄色い花が咲き乱れて、美しい碧空を背景に輝いていました。この家も石段のある門は荒廃し「武井」という古い門札がかかっていました。

 この時、私はふと「武井守成」の事を思いだしました。明治時代の男爵の位を持つギターの作曲家で、”黄色い花”とか、”冬の街路樹”という作品があります。私がギターを始めたばかりのころ愛奏した曲でした。武井氏は日本でのクラシックギター演奏の先駆者でもありました。

 龍馬もこの道を通って、剣術の道場に通ったそうですが、私も同じ道を歩いて音楽教室に通っていました。その頃はまだ天体発見の事は頭になく、ギター音楽に重きをおいていたのでした。しかし、帰りが遅くなって、西の市街にオリオンの三ツ星が沈んでいく壮烈な光景を、今でも覚えています。星の世界がついそこまでやってきている頃でした。ああ若き日の19歳。
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