今年最強の寒波が訪れて、高知市も冬化粧をしました。この、雪を冠った日本瓦の家が「通町2丁目」の関家で、”イケヤ・セキ彗星”ほかの新彗星発見の場所です。遠くに見えている二階建てが、当時私が寝泊まりしていた家で、観測台は、その中間の中庭にありました。ここから「彗星発見!」の烽火が挙がっていたのです。そして世界に発信。

 関家は戦時中、土佐和紙の製造をしていました。写真を撮ったこの場所に工場がありました。今私が住んでいる3階建てです。「通町」とは”土佐24万石”の城下町の名残で、すぐ南側の通りは「奉公人町」です。藩政時代に、高知県の伊野町で始まった土佐和紙作りは、高岡町に伝わって、私の祖先が高岡町から高知市に持ち込んだものです。

 通町には、戦時中に和紙製造の全盛を極め多くの工場が立ち並んでいました。昭和18年の戦中、日本が開発した”風船爆弾”の材料に、薄くて強靭な土佐和紙が使われるようになり、「関製紙工場」は軍需工場の指定を受けました。しかしスパイの暗躍があり、終戦間際の昭和20年3月、工場はB-29の爆撃を受け、さらに7月4日の大空襲で工場は灰燼と帰しました。

 終戦後、廃墟となった町の空には、無類の美しい星空がありました。中学生だった私は、次第に宇宙に惹かれるようになりました。都会での星との出逢いです。
(もし大戦に出会わなかったら、私は星の世界にいなかったかもしれない)と、ふと運命の奇遇を思うことがあります。

IMG_1775



にほんブログ村 科学ブログ 天文学・天体観測・宇宙科学へ
にほんブログ村