春になってオリオン星座は夕方の南の空に最後の輝きをみせています。オリオン星座ほど均整の良くとれた美しい星座はありません。戦前の1940年頃、高知市米田のあぜ道を歩きながら、父から”三ツ星”と呼んで教えてもらった、あの美しさは永遠に私の脳裏に焼き付いています。

 オリオン座の北の1等星は赤い色をした変光星ですが、いま特別に暗くなっているようです。先日夕空で私が観測したところ、”三ツ星”と同じ2等星か、やや暗く感じました。しかしベテルギウスまでの距離を考えると、今最後の大爆発をしたとしても、地球に光が届くまでに何万年かかかってしまうでしょう。とっくの昔に消えているのかもしれませんが。

 写真は、今から30年ほど前の1990年に芸西村の天文台で撮影した冬の星座です。上の方に三ツ星を挟んで、左(北)に赤い1等星のベテルギウスが見え、反対に右の方に同じく1等星の青いリゲルが輝いています。その下に特別に明るいシリウスが、全天1の巨光を放っています。そして画面左の山から小犬座のプロキオンが登ってきて、上のベテルギウスとシリウスを結んで”冬の大三角”を形作っています。

 このころ(1990年)には、ベテルギウスは南のリゲルと同等か、やや明るい感じでしたね。晴れた日には今年最後のオリオン星座を眺めて、ベテルギウスの明るさを確かめてみて下さい。それは単なる”観望”から一歩進んで立派な”観測”の世界になります。「天体観測入門」です。

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