その後のアトラス彗星です。急に星空が春の靄の中にうるんできました。月が沈みかけた午前1時半、ようやく北天の低空に彗星を捉えました。地平高度は僅かに30度です。彗星のイメージは先日とほとんど変わっていません。8等星です。尾の長さもかわりません。依然健在であることを示す写真となりました。次の観測は、満月を過ぎてからの闇夜、4月の中旬ごろになります。

 アトラス彗星の観測を終え、望遠鏡のモニターを見ると東の空に12P(ポン・ブルックス彗星)が現れているのを見つけました。まだ高度は35度ですが70cmを向けて撮影しました。もし写ったなら70年ぶりの再会ということになります。

 ポン・ブルックス彗星は、遠く1812年にフランスのコメットハンターPonsらによって発見され、約70年で回帰することがわかりました。最近では1953年にアメリカのローマー女史によって再発見され話題をよびました。その翌年、彗星の捜索を始めたばかりの私は、日本で最初に眼視的に観測しました。
 もし今回の観測で確認できたら、実に70年ぶりに同彗星と再会できたことになります。

 今はまだ暗いですが、近日点を通る2024年4月には4等星になる可能性があります。18-19世紀に活躍したフランスのポンはパリ天文台の門番でした。彼は天文台の番人の傍ら、彗星の番人も務めて、生涯28個の新彗星を発見しました。同じフランスのメシエと共に僅か2インチ(50mm30x?)の屈折で発見したと言います。

(写真は4月2日1時30分、70cm反射望遠鏡で撮影したアトラス彗星)

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