添付した写真は、芸西天文台が60cm反射望遠鏡時代にパトロール撮影した1枚である。時間を15分空けて上に20″移動させ、二重撮影したもので、視野は、対角線で2度あった。この写野の中に何か新天体(移動した彗星や小惑星)が存在しないか探すのである。

 場所は衝(太陽の正反対側)の位置だから、もし小惑星が存在すれば、逆行して下の星が西(右)に移動しているはずである。多くの星たちは綺麗に上下に整列しているが何か、形を崩している星の配列はないだろうか?そして朦朧とした彗星は?(もし発見したなら、今これを見ている人の手柄となる)。画像をクリックして拡大してみてほしい。中央やや左寄りに何か朦朧として移動したものはないか?

 しかし残念ながら、この写真一枚だけで、後は悪天候が祟って、何も分からずに終わってしまった。この写真のデータもない。芸西では1980年に60cmが完成してから約30年間に1,000個以上の小惑星を発見した。しかし、その中で完全な新天体は300個ほどで、そのうちの223個がセンターで認められて番号が確定した。そしてその多くが発見者によって命名されて来たのである。

 最も小惑星を発見したからと言って、すぐ名前はつかない。余程うまく観測が整って軌道が確定すると仮符号が付けられる。たとえば2020 ABと言う風に。そして次に地球に接近して来る2-3年後の衝での位置予報が計算される。ここで、うまく再発見されればいいが、中には遠かったり軌道がうまく計算されていなくて見逃されるケースもある。こうなると更に数年後の接近での観測が困難となって、行方不明になることも多い。この衝での発見が4回そろい、十分な数の観測が揃えば、もう行方不明になる心配は無い。小惑星が確定しナンバーが与えられる。そしてスミソニアンのセンターから命名権を得るのである。
 
 こんなことで小惑星のナンバーが確定し命名権を得るまでには4回の衝での発見観測が必要で、10年以上かかることもある。こんな苦労はなかなか一般には分かってもらえない。こんな事情も知らずに故人で、他人の発見した小惑星に命名することを趣味として暗躍?した人もいたが、本当の発見の困難な事情を知ったら、こんな飛躍したことはしなかったであろう。最も芸西では立派な人の命名を歓迎し実現してきたのである。

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