秋から冬にかけて東北の空にボウーッと輝く大星雲(銀河)です。肉眼で見える唯一の系外星雲で、我々の銀河宇宙と同じ規模を持っていると言われています。1億5千万個の星(太陽)の渦巻きでしょうか。極めて遠い将来には我々の銀河宇宙と衝突して合体すると言われています。

 小学生のころの理科の本には、このM31までの距離を32万光年と説明してありました。そして高校生の頃読んだ本で、その倍の64万光年になっていました。今では240万光年以上。肉眼で見えるこの大銀河は240万年昔の光と言う事になります。

 私が初めてこの銀河に出遭ったのは終戦直後の1949年ごろでした。まだ至る所に空襲での廃墟が残る”はりまや橋”近くの焦土の中で、でんと天体望遠鏡を据えて星を見せている不思議な人がいました。人口20万の街の中で肉眼でも大星雲が見えたから驚きです。その時、天体観測会を開いていたのはSさんという東亜天文学会の高知支部長でした。そして望遠鏡を覗かせてもらっていた、星の事は何も知らない鼻たれ小僧の私が、それから実に60年経って東亜天文学会の第9代目(最後)の会長を努めるようになるのですから、なんという運命の”イタズラ”でしょうか?人間のさだめというものは、まことに奇なるものです。

 東亜天文学会はその後法人になって、会長の制度はなくなりました。大正年代に京都大学の山本一清博士らによって創立された東亜天文学会は、今年で100年の記念の年を迎えるのです。そして、私が発見し命名した小惑星”東亜天文学会”が、それを宇宙から祝福するかのように、今地球に接近して明るく輝いています。

 (写真は芸西の60cm鏡で撮ったM31。露出が短いので中心部だけが写った。実際にはもっと大きな渦巻き。右上にぽつんと光っているのがM32で、我々の銀河宇宙で言えばマゼラン雲に相当する小宇宙)

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