古きにさかのぼると、地動説を唱えたイタリアのガリレオの父「ビンセント ガリレイ」は、ギターと同系統のリュートの演奏者であった。1959年、有名なスペインのセゴヴィアが来日した時、大阪のフェスティバルホールでの演奏会の第一曲が、ガリレイのサルターレロという舞曲であった。後日演奏会が東京に移ったとき、ギター製作家の河野賢さんは自信作をセゴビアに見せた。セゴビアは大変気に入って「今度私が日本に来た時には、お前はきっと世界一の製作者になっているだろう」と述べたという。この噂は世界に広がって、その後イギリスから来日したギタリストの「ジュリアンブリーム」は、日本公演が終わって河野さんのギターを買って帰った。 

 河野さんは星が好きであった関係で、私と交流があった。私が今弾いている河野ギターは1993年の作品であるが、河野さんを日本一の名工として、私が小惑星に命名した関係で非常に安く作ってくれた。セゴビアによって世界に紹介されたギターが、今私の愛機として存在するのが夢の様である。河野ギターは弦の張り具合がやや硬いが、音の立ち上がりが非常に良い。セゴビアが長く愛用したハウザー1世の名器を思わすものがある。

 さてスタンドに広げている楽譜はF.ソル作曲の「スペインのホリアによる変奏曲」である。1929年、セゴビアが来日した時のプログラムにあった。1959年の時のプログラムには、おなじソルの「モーツァルトの主題による変奏曲」があった。どちらもソルの大変な名曲でありまた難曲でもある。毎日演奏しているが、ヴァイオリンの曲にもある「ホリア」はサラバンドと同じく、独特のリズムが良い。コレルリーのホリアはヴァイオリンの練習生がよく弾く名曲。


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