まだ少し早いですが、長い冬が去り早春の香が幽かに漂う頃になると、暮れたばかりの夕空に不思議な光芒が立ち上ります。黄道に沿ってピラミッド状に輝く光が”黄道光”と呼ばれています。
 黄道光は、不思議なことに早春の夕空か、秋の明け方の東の空にしか見られません。
 終戦後間もない1947年の3月、高知市の北辺を歩いていて、強烈な夕方の黄道光を見ました。あの頃は空が暗かったのですが、その後明るくなった高知市の空では、夕空の光道光は見たことがありません。
 これに対して明け方の黄道光は、高知市の空でもよく見かけました。1961年10月12日、初めて彗星を発見した朝には、強烈な黄道光の中に彗星は埋もれるように輝いていました。

 光が黄道に沿って集中していることは、おそらく小惑星の様な無数の微小天体が、太陽光を反射して光っていると思いますが、なぜ春の夕方と秋の明け方にしか見られないのか不思議です。案外その理由は簡単かも知れませんが。この黄道光は、かすかながら黄道に沿って帯のように天空を横切り、あとでのべる対日照につながっているものです。

(写真は秋の黄道光。獅子座の大鎌が昇ってくる。上空にカニ座のプレセペ星団が見えている。光芒は三角形で、その頂点はこの星団付近に達することもある)


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