とにかく明るい新星でした。およそ100年に1回の現象でしょうか?高知県も北の山奥、通称”天狗高原”に登山して、四国で一番美しい星空に親しんでいました。標高1000m、光害の皆無と言われる高原の空には、明るい恒星の光芒が満月ほどに大きく見えました。この別天地に天文台があったら物凄いことになるだろうと思っていましたが、それから半世紀、その夢はようやく実現しようとしています。

 その夢の話はさておき、私は見たのです。白鳥座の1等星(デネブ)の近くに煌々と輝く意外な星を。新星です。いつまでたっても動きません。「これは大変だ!」と、山から急いで帰ってくると家の電話が鳴りっぱなしでした。単独で発見した人からの報告です。こうして日本国内では30件くらいの独立発見者が出ました。そして、東京天文台に報告しました。その中に、あの有名なコメットハンター、本田実氏の名があったのは、さすがです。

 さて、ここは芸西村の山の中です。私は完成したばかりの口径40cmの反射望遠鏡を使って新星を撮影しました。直接焦点での15分間の露出です。色が見事です。ややピンクがかったのは、新星の活動がピークを過ぎようとしているからです。こうして1975年の8月に現れた白鳥座新星は、世界中の話題をさらって、静かに消えていきました。

(中央の太い光が新星。画面上の赤と青の4等星は、はくちょう座の恒星)

スキャン 1


にほんブログ村 科学ブログ 天文学・天体観測・宇宙科学へ
にほんブログ村