小惑星や彗星を探索していて、一番決め手になるのは天体の移動です。二重撮影によって、天体が移動しておれば、恒星や星団、星雲の類では無いことが分かります。つまり、それは太陽系内の小惑星か彗星かということになります。最終的な決め手は軌道計算することによって判定しますが、移動天体のイメージによって、ある程度判断がつきます。すなわち、鋭い恒星状であれば小惑星。朦朧とした天体なら、彗星ということになります。

 ところが、面白い事に最初は恒星状で小惑星と見られていた天体が、ガスを噴出することによって活動が認められると、彗星に変身します。参考の写真は芸西で、1990年10月15日に発見した小惑星(19161)ですが、中央の移動天体はやや朦朧としています。すぐ右下の同光度の恒星像と比較して下さい。この柔らかい朦朧とした輪郭は彗星の特色です。イメージが小さいので人目を引かなかったのです。しかしいつの日にか爆発して派手な彗星像を呈するかもしれません。

(写真は、芸西の60cm反射望遠鏡で15分ずつの露出。2回目は北に約30″ずらした)

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