足摺岬に、国道56号線を走って向かうとき、突然広大な砂浜が展開する。小惑星の名にもなっている大岐の浜(Okinohama)である。ここまで来れば四国も最南端、足摺岬も近い。天下の名勝「桂浜」よりスケールが遙かに大きく、いつか見た東北の「ノビル海岸」に似ている。しかし海は深く海水浴にはあまり適さないらしい。

 釣り人や海亀も時々見かける。浦島太郎のようなお伽噺も流行りそうな海岸で、竜宮城は200キロくらい東の桂浜にある。国道に沿った松林は延々と西に伸びている。海の視界は広い。遠くに汽船が浮かんでいるが動かない。そして水平線は広く球形に見えている。地球の大パノラマである。

 1986年4月、この絶景の地にハレー彗星がやってきた。全国に呼び掛けて観測会を開いた。約1000人の人が集った。彗星は青い尾を曳きながら、南半球の空へと消えていった。76年に一度のチャンスだった。そして、これから向かっている足摺岬の樫西公園でも観測した。久しぶりで対面する「大岐ノ浜」は、ハレー彗星の思い出を誘った。最近は明るい彗星が無いが、確率的には、もうそろそろ「ドカーン」と来てもよさそうである。

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