上町2丁目の昔の家でクラシックギターを教えていた時、一人の女子大生がいた。天文台のある芸西村の人であったが、レッスンをやっていた時、たまたま週刊誌(少年サンデー)の取材があって、写真撮影のモデルになってくれた。「星とギターを友として」である。確か松本さんと言ったが、おとなしいおぼえの速い子であった。

 それから10年余り経って、愛知県の四日市に天文講演に行ったとき、終わったら控室に彼女
がやってきた。結婚したのであろう、小学低学年の男の子を連れていた。昔のギターレッスンの話が弾んだ。あの時、私に相談したいことがあった、と言う。何か独り悩み事でも抱えていたであろうか。(故郷の芸西村に帰ったときには天文台を尋ねたい、)と言っていたが結局今まで実現しなかった。
 ただ最近観測会を予定していて悪天候のために中止になった時、主催者の文教協会によると、私に会えなくて大変残念がっていた県外の女性がいたそうで、もしかしたら松本さんでは無かったかと思った。彼女と練習で弾いていたヴァイス作曲の幻想曲の美しいメロデーがふと浮かんで消えた。

 ”星とギタ—”それは若き日の私のすべてであった。

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