太陽の近くには”クロイツ族”の彗星に限らず、人知れず大接近して消滅したり、あるいは高熱の打撃を受けたまま、去っていくものもあります。これらの彗星のほとんどは地上から見えませんが、太陽観測衛星に映ることが、しばしばあります。下の写真はその1例ですが、明るい太陽は丸いマスクでおおわれています。二つの彗星が大接近しています。これらは、高熱の太陽コロナの中で蒸発してしまうか、そうでなくても大きな打撃を受けて、ふたたび宇宙の彼方に去って行くことでしょう。1965年10月の「イケヤ・セキ彗星」は、100万度以上にも及ぶといわれるコロナの高温に耐えて、奇跡的に脱出したのでした。これは、この彗星を語る最大のナゾとなっています。彗星の氷の中の核は、二つないし三つに割れたまま去っていきました。今度帰来した時には、これらの核は、何年か何十年かの間隔を置いて、それぞれ独立した彗星として、次つぎにやってくることでしょう。下の写真の彗星も、そういった奇跡の過去を持った彗星かもしれません。

 「池谷・関彗星」に代表されるクロイツ族の彗星は、過去いくつか確認されていますが、案外生き延びているのは彗星を構成する物質によるものでしょうか?
 これらの彗星は0.006
天文単位くらいまで、太陽に接近します。摂氏100万度の高熱と、激しい力学的な作用を受けるために大概が分裂します。そうしてその軌道上を今は無数の彗星が運航しているものと想像されます。1,000年ほどの周期を持つ彗星に、我々が巡り合えたのも奇跡としか考えられません。彗星の発見はすべてが奇跡なのです。

 今夜にでも現れるかもしれない、こうした彗星を、世の多くのコメットハンターは、それぞれ工
夫した奇妙な望遠鏡(コメットシーカー)で、追いかけているのです。

スキャン 1


にほんブログ村 科学ブログ 天文学・天体観測・宇宙科学へ
にほんブログ村