今は幻の本となった「未知の星を求めて」再版の校正が全部終わりました。後は高知新聞社から新装となって再発刊されるのを待つだけです。第4章、5章が新しくなりました。最初に発行された1965年頃とは、星とそれを取り巻く天体観測の模様がまた違いますが、新しい時代にあって、星の好きな人の為に何らかの貢献をしてくれることを祈っています。再版に当たって、多くの方がたのご理解と、ご協力が得られたことをこの上なく心強く思っています。
 
 最初の本の発行の動機は、何といっても新しい彗星発見でした。1961年9月「第二室戸台風」のやって来た日、私は四国の山(三嶺)に上って発見のための修行を積んでいました。そして10月に入ってからの11日、黄道光に明るく照らされた獅子座の中に発見したのでした。発見はそろそろ黎明の射してきた午前5時前で、位置は、獅子座のベータ星の近くでした。7〜8等星で、ちょうど近日点を通過中でした。このころ静岡県の池谷さんもやっていましたが、イギリスのライバル、オルコック氏の捜索視野が5度の近くまで迫っていました。
 彗星はComet Seki(1961 T1)と命名されましたが、それから1ヶ月後の11月中旬に、地球に0.1天文単位と接近して南天で3-4等級の明るさになりました。(写真)

 彗星発見は、宇宙と人生との微妙にして壮大な出逢いです。人間として生まれてきたからには、なにかをしでかしたい。そんな単純な動機が発見につながったのです。私の本を読んで何人かの彗星発見者を輩出しました。今回も天文界のために何らかの貢献をしたい。その様な、祈るような毎日です。

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