全天に輝く星座の中で、オリオン星座ほど均整の良くとれた美しい星座は無い。行儀よく並んだ三ツ星の北には赤い一等星のベテルギウスがあり、その対象の位置の南には、蒼いリゲルが輝く。彗星の捜索をしていて疲れた時、ふとオリオンを見ると、その疲れも吹き飛び、新たなる馬力が生ずる。
 1962年2月、「関ラインズ彗星」を発見した時、オリオンは常にわたしの視界の中にあってかがやいていた。

 写真は芸西天文台のドームの中からの撮影である。中央の三ツ星の少し下に有名な赤い大星雲「M42」が見える。双眼鏡でも肉眼でもよく見えるガス星雲である。オリオン星座は赤道の丁度真上に位置していて、世界中のどこからでも見えることが、余計にこの星座を有名にしていると言えるであろう。
 戦時中、本田上等兵は夜のひと時、南方の椰子の木陰でオリオン星座を見る事を日課としていた。内地の妻も見ていると思っていた。お互いに心が通じ合っていたのである。

 私の高校時代からの友人にO君と言うのがいた。高知市から西に20kmの小さな町に住んでいたが、彼とはよく星を語り人生を語った。卒業しても手紙の終りには「オリオンの高くかがやくころ」という文字がつけくわえられてあった。そのO君は人生の事を深く考えすぎて遂にノイローゼになって自殺した。家族の方からの知らせがあったのも、オリオンの輝く冬の晩だった。

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