1965年9月19日の発見

 最近の市売の天文学の雑誌に「池谷・関彗星」に代表される”クロイツ族彗星”のことが紹介されましたが、今まで謎に包まれていた、この彗星の事が広く知られるようになりました。
 この彗星の特色は、放物線軌道よりわずかに小さな離心率を持っており、900年くらいの周期で太陽を公転していることです。
 いつごろから、この彗星がやってきだしたのか分かりませんが、おそらく遠い昔に現れた彗星が非常に太陽に接近してその核が分裂し、無数のクロイツ族の彗星を生んだものと思われます。その近日点距離は「池谷・関彗星」の場合は0.006天文単位です。これは太陽表面から30万キロくらいの空間で、完全な太陽コロナの中です。したがって、これらの彗星たちは、近日点通過の時には、太陽コロナの摂氏100万度以上の高熱を浴びる運命にあります。

 核の小さな彗星の多くは、近日点で爆発蒸発して、その一生を終えることになります。現にNASAの太陽観測衛星などによって、太陽面に接近してきた小彗星が爆発消滅していく姿が捉えられていますが、地上からは見えません。こうして、まれに太陽面を無事通過した彗星が、太陽を回った後、明るく大きく発展していくのです。それらの明るい彗星は、恐らく、数十年から100年に一回くらいの割合で出現していると思われます。1965年の「池谷・関彗星」は運よく地上から発見されたもので、その発見のチャンスは、その周期の880年に1回という少ないものでした。正に発見は奇跡の遭遇だったと言えるでしょう。

 発見は近日点通過の約1ヶ月前でした。太陽のそばでは、満月の数十倍(倉敷での本田さんの観測)と言う、とてつもない明るい彗星も、発見時には約8等級という暗いものでした。そして彗星特有の尾も見せていませんでした。ちょっとしたメシエの星雲でも見ている感じでした。彗星は太陽との距離が縮まると、とてつもなく明るくなるものです。白昼、太陽のそばに肉眼で見えたのですから。
 彗星は太陽との距離の4乗から6乗に逆比例して明るくなるという実験結果が出ています。(続く)

(写真は自宅の物干し台で見た白昼の池谷関彗星。1965年11月上旬)

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