高校生の頃「本田彗星」が発見されました。学校には天文の好きな先生や生徒が少数いましたが、天文部としての活動はありませんでした。
 日本はGHQ(占領軍総司令部)の政治下にあって、社会が敗戦直後の暗澹たる中において、宇宙に目を向け、新天体を発見して、世界に気を吐いた本田さんとは、どんな人だろうと思っていました。
 天体が見たくても望遠鏡は売っていません。組み立てキットの様な便利なものもありません。古い老眼鏡の玉と虫メガネを使って実験し、粗末な望遠鏡を自作しました。

 それは1948年の大晦日の晩でした。暗くなるのを待ちかねて、東の空に登ってきた木星にレンズを向けました。木星の4個の衛星が鮮やかでした。16世紀にイタリアのガリレオが初めて見た木星の姿だったのです。やはり自分で作った望遠鏡で天体を見るのはたのしいです。どんな大きい天文台の望遠鏡で見るより感動的です。こうした流れが、やがて新天体の発見へとつながっていったのです。

 芸西天文学習館では、毎年夏に望遠鏡づくりの講習会があります。便利な説明書のついた組み立てキットです。難しい事は担当の先生にならいます。こうして完成した望遠鏡で、夜になると天体観測会に転じます。芸西天文学習館が小・中学生向きに毎年行っている人気の高い講習会ですが、もし私たちの子供のころのように、部品のない時代だったらどうするだろう?とふと考えました。恐らくレンズや筒を自作までしてやる人は少ないだろうと思いました。

 今年も望遠鏡作りの会があります。主催者は高知県文教協会、電話(088-824-5451)です。
多少の材料費が必要ですので、問い合わせてください。人数が多くなると締め切ります。

(写真は廃物利用の望遠鏡で見た木星と4個のガリレオの月。木星の片側に集まっている)

スキャン 2



にほんブログ村 科学ブログ 天文学・天体観測・宇宙科学へ
にほんブログ村