このたび大崎市の遊佐さんやOAA彗星課課長の佐藤裕久さんから、1990年に芸西で発見した小惑星「高知文教」が珍しい連星(重星)であることが知らされました。
 今まで世界中で発見された小惑星は、恐らく何十万個とあることでしょうが、連星になっているのが確認されたのは、その割合から言えば非常に少ないと思います。小惑星「高知文教」は、芸西天文台が完成し、依光賢一郎先生が理事長の時代に発見し、命名したもので、当時としては国内的に早い発見でした。

 小惑星(4411)高知文教 1990年1月 3日発見  Geisei 60cm反射望遠鏡

 小惑星(6244)岡 本  1990年8月20日発見 Geisei 60cm反射望遠鏡

 実は、連星であることが判明したのはこれが初めてではなく、同年の8月に発見した小惑星(6244)「岡本」も、連星である事が判明したのです。ところが面白い事に、芸西天文台を管理する文教協会の依光先生と岡本啓先生は、師範学校が同期で親友でした。日中戦争中、依光先生が教育目的で国から派遣されて、占領下の上海に行くことになっていたのですが、病気をされて、その代わりに岡本先生が行ったのです。私が第四小学校4年生の時、岡本先生との悲しい決別がありました。素晴らしい教育を残して去って行った先生の事が忘れられず、その後、発見した小惑星に「Okamoto」と命名したのですが、今回二つ共に珍しい連星であって、文教協会と関係がある星であったことに、不思議な因縁を感じます。

 この様な歴史が築かれたわけですから、これからも天文台を管理する「高知県文教協会」を中心に、天文教育に励んで行きたいと思っています。機会があれば、このようなお話を天文台の参加者に残していきましょう。この星になった二人の教育者は、いま宇宙から私たちをじっと見守っているのです。

IMG_3020


にほんブログ村 科学ブログ 天文学・天体観測・宇宙科学へ
にほんブログ村