4月29日、大雨があって、お天気は回復の途上にありましたが、久しぶりに多くの天文愛好家が集まって観測会を開きました。講師は土佐塾高校の岡崎嘉孝先生と私でした。
 高知高専の今井先生が生徒20人を連れて参加し、また高知工科大学の生徒も参加して質の高い観測会になりましたが、中には京都市から駆け付けた女性の天文ファンもいて、結構にぎやかでした。多くの方が私の拙著の再版を持ってきて、”サイン会”にもなってしまいました。

 私は1946年12月の南海大震災の日に現れた不思議な星について、お話しました。その日は、クラスメートのK君が来て、徹夜で短波受信機を組み立てていました。終戦直後には海外から、日本向けのいろんな短波放送が洪水の如く入って来て、それを傍受するのが楽しみの一つになっていました。いつも水曜日になると朝鮮半島のどっかから、見事なギター演奏が聞こえて来て、それを鑑賞するのも、大きな楽しみになっていました。グリーグのソルベーグの唄や、タルレガのトレモロ練習曲、「アランブラの思い出」等の名演奏は忘れられません。そのころの世界のギター音楽は、スペインの巨匠「A.セゴビア」に代表されてましたが、東洋にもそのようなかくれた名演奏家がいたのです。

 そんな時、突然、震度7〜8に匹敵する南海大震災に襲われたのです。午前4時だったでしょうか、その後も、ひっきりなしに襲ってくる余震に脅えながら、庭に立って薄曇りの東天を見ると、そこに異様に明るい星が輝いていました(地震を知らせる星だ!?)。まだ中学生で、天文に知識のなかった私はそれを地震のシンボルだと単純に思ったのです。空は冷たい薄曇りでしたが、星は半月にも匹敵する明るさでした。しかし、その後高校生になって、その星の正体を疑うようになりました。明けの明星として輝く「金星」は最大マイナス4等星ですが、半月よりは、はるかに暗いのです。その半月にも匹敵する明るい星の正体は一体何だったのか?その疑問は長い事解けませんでした。

 今年4月29日の観測会が近くなって、天体歴を調べていたら、5月2日の朝、木星と金星が大接近するというニュースを見て「ハッ」としました。木星は太陽系最大の惑星です。金星も、太陽系の中で1番明るい惑星です。もしこの二つがランデブーしたら、とてつもない明るさになって、明け空に輝く。1947年の南海大震災の時の明星はもしかしたら、この二つの惑星の大接近ではなかったのか?スマホに描かれた75年昔の天象は、金星と木星が接近して行く様子が、そして遂にはぴったりと一つになって大きく輝く様子が、鮮やかに再現されたのです。

 来る5月2日には実にあれから75年も経って同じ暁の空に、その情景が再現されようとしています。
当日、うまく晴れたら、その様子をこのページでお目にかけたいと思っています。果たして、、、、。

(写真は2007年11月、爆発的に増光した怪物のホームス彗星。画面右の円盤像)

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