彗星を発見するには、よく訓練された独特の眼があるらしい。彗星捜索を半世紀以上もやって、私は特にそのような目を意識したことは無い。しかし、いつも発見した時「今日も無念無想だったなあ」と思う。何も考えずに、ただ一心に捜索に集中した時、新しい彗星はあらわれるのである。その精神を”無念無想”と言うのであろう。
 
 コメットシーカーを覗くときの心も大切である。先輩の本田実氏は、「光学系は最高のものではなくてはならない」と言う事を強調されていたが、ピントの良好な光学系は、おのずと観測者の精神を統一させるのである。そして、限界に近い彗星の発見を容易にするのである。
 彗星を発見するためには、それらの精神的なこととは別に、技術面での大切な秘伝もあるのだが、それはまた、いつか講演会の時にでもお話したい。今年の10月30日には、高知市桟橋通りの自由民権会館で天文講演会が予定されている。

 添付した写真は、第2関彗星を発見した後、ある小さな会場で講演した時のものである。写真は発見の奥義について熱弁をふるう姿を、写真家の寺田正氏が実に忠実にとらえてくれた。寺田氏は高知市在住で、大正年代から、昭和の大戦を経て移りゆく高知市の姿を描写してきた。のどかな浦戸湾を行く巡航船のすがたや、戦時下の町内での防空訓練の様子など、懐かしい写真が多い。これは、名写真家最後の一枚である。

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