先のブログでは「彗星を見つける心」について語った。「彗星を見つける眼」も捜索に当たっては重大である。私の知り合いで”新彗星を50年間追いかけて一個も発見無し”と言う、不名誉な記録をつくった人がいたが、問題はその内容である。そして、真面目な意味での彗星を見つける心と目が備わっていたかが問題である。彗星の発見を、自分の名誉欲とか或いは、商売の発展等に目指した人は、みんな失敗した。それから折角の努力が機運に恵まれずに、発見を逃した人もいる。私なんか何をやっても運が悪く、失敗した典型であった。しかし、最後に勝負を決めたのは”忍耐”であった。

 彗星は普通の天体と違って朦朧とした幽霊の様な正体であるから、それに慣れることが大切である。新彗星が発見されたら、まず観測してその位置や光度を報告する。そして、彗星に似た淡い星団や星雲になれる。その様な観測を続けているうちに自ずと、彗星を見つける眼は備わってくるものである。後は、気長にチャンスの到来を待つのみである。

 技術的に大事なことは、捜索中は視線を常に視野の中心において、しかも視野全体を見るよう
にすること。レンズが優秀であれば、恒星は尖鋭な点像に見える。少しでも朦朧とした天体が通過すれば、心は敏感に反応するはずである。そして、一度見た星団や星雲は、星図の記号のそばにその様子を記録しておくこと。例えば、アンダーラインを引いて、星雲の光度や視直径を鉛筆でかいておく。こうすることによってあなたの星図はまたとない貴重な助手になってくれるのである。

 彗星発見の技術的なことは、また何かの講演会の時にでも、つぶさにその経験を語りたいと思っている。周期彗星は別として新彗星の軌道は、順行が多いのか逆行が多いのか、それによって、捜索のあり方が変わってくる。私が最初に発見した彗星(Comet Seki 1961 T1)が、アマチュアの発見する、最も典型的な一例であったと思っている。

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(写真は15cmF6.3反射望遠鏡と共に 1963年)

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