夏も去りいよいよ星の輝く秋、そして晩秋へと進んでまいりました。

今日は少し手が震えてペン字が書きにくいので、タイプ打ちで大変失礼いたします。私も昭和5年生まれで、父は100歳。母は80台の終りまで長生きいたしました。
 折角長生きするからには、天文学上の貢献を多く行い、世のために尽くしたいと思っています。
 今やっていることは自分で体験した天文を今の若い人達に講演会で伝える事。そして天文台で天体の観測法を子供たちに教えることです。
 無限に輝いている星の世界を見ていると心も大きくなります。世の中に犯罪を犯す人も減ってくると思います。そして争いのない平和な世界が続くかもしれません。昔そんな話を、ある外国の天文学者が述べた事がありました。
 最近拙著「未知の星を求めて」を高知新聞社から出版して、お便りを下さる方が多くなりました。ある方は、天文書であるとともに、一種の「人生読本」だという過大評価をされました。10月30日には午後、高知市の自由民権会館で、星の講演会を行います。

 さて、秋は星座も美しいのですが、流星群も多く活動します。12月になると、有名な『ふたご座流星群』が見られます。最盛期は14日前後だといわれています。是非注目して下さい。今は、明るいホウキボシがありませんが、もしあらわれたらお知らせします。1986年のハレー彗星は、私は南半球のバリ島で観察いたしました。
 お手紙の中にある野尻抱影さんは星の詩人でしたね。ご生前に「オリオン霊園」に自分の墓地があるといっていました。オリオン星座のすこし東です。「オリオン霊園」とは、なんと美しい名だろうと思いました。今覚えている野尻さんの名句をご紹介します。

 草に見る
   星座ホタルの 香に青き

 夏の句ですね。その蛍も、今では芸西村では見えなくなりました。昔は市内でも、室内に入ってきて、よく蚊帳に泊まって、明滅していました。蛍は光に反応するそうですが、冬の幼虫は草に止まったまま飛ばずに冬を越すそうです。そして、相手の光に反応します。懐中電灯等にも呼応します。
 あるとき鬼ボタルの光が盛んに草むらで明滅していましたので、その上を見ると、冬の巨星「おおいぬ座」のシリウスがらんらんと明滅していました。ホタルは、そのシリウスと交信?していたのです。
 今では蛍もまったくみえなくなり、また秋の虫たちの大合奏も芸西天文台では聞かれなくなったのは、どうしたことでしょう。虫たちの住む環境に変化が起こったとしか考えられません。1986年のハレー彗星も盛んな虫の大合奏の中に76年ぶりの姿を現したのです。現場にいた、ある女性の歌人は、こんな歌を詠みました。

 会いえたる いとしき星よ 虫すだく

ではまた、お元気でお過ごしください。  2022.10.18


(オリオン星座の三ツ星の近くの、不気味な馬首型暗黒星雲。1980年、芸西の60センチ反射鏡で撮影。露出10分)

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