”クロイツ族”なんて唱えると、なんだか怖いものの集団の様にきこえますが、そう、天界では”クロイツ族彗星”は、突然やって来る恐ろしい彗星のグループです。約1,000年ほどの周期で太陽を公転しているグループで、必ずや太陽の火の中に突入します。その彗星たちが9月に最も発見しやすい位置にやって来るのです。

1965年9月19日に発見された「イケヤ・セキ彗星」は発見後の10月21日、太陽のコロナの中に突入しました。そして摂氏100万度と言われるコロナの中を通過し、また1,000年後のリターンを約して、太陽系の彼方に去って行きました。

 同彗星の出現は地上に数々のエピソードを生みました。
その一つに友情の鏡が
あります。「池谷・関彗星」の発見によって池谷さんと知り合った私は1970年に彼が研磨した口径105mmの反射鏡をプレゼントされました。彼は反射鏡研磨の名手です。裏に「№ 1」と刻まれたこの鏡は、この世紀の彗星発見を記念すると共に、永久の友情のメモリアルです。
1975年、この反射鏡はコメットシーカーとしてマウントされました。珍しい形の「山崎式コメットシーカー」です。今でも時々この望遠鏡を使って、芸西の空で捜索を行っています。彗星は発見出来なくても、池谷鏡で見る無類の星の美しさを満喫しています。そして発見を競い合った、あの頃の姿を思い浮かべ、独り満足しているのです。

 間もなく発見の9月19日がやってきます。このコメットシーカーを使って、彗星が現れたウミヘビ座を見よう。わが人生での最大の出来事となったあの頃を振り返って、独り感慨に耽りたいと思う。そして、未来への希望を新たにするのです。

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