☆☆コメットシーカーと私(4)☆☆
 理想の双眼鏡が台頭

 1950年から、約10年間にわたって、たくさんの眼視的新彗星を発見して世界中の天文家を
驚かせた、当時のチェコ-スロヴァキアの、スカルナテ・プレソ天文台は1400mと言う標高の高い山上で、ムルコス氏やパドゥシャコヴァ女史らが沢山の眼視彗星を発見した。発見に使用したソメト製の双眼望遠鏡は、口径10cmであったが、特殊な広角のアイピースが使われて、日本に届いた資料によると、実視野は4度あったという。国内では、1950年頃から本田実氏が12cmの双眼鏡を使ったが、地上の観光用で、映像は悪く、視野の広さも問題にならなかった。しかし彗星の捜索には双眼機がだんぜん楽である。そういう事で、私は捕鯨船につまれていたタイプの、口径12cm20xの日本光学製の望遠鏡を使い始めた。「池谷・関彗星」を発見した後の事で、1967年の第2関彗星は光度11等、コマの直径が2分角で、従来の単眼鏡では到底発見できない微弱な天体であった。

 その後の眼視発見もすべて双眼鏡で、捜索は実に楽であった。同じ口径の単眼鏡に比べて1.5xはよくみえた。しかし値段は恐ろしく高価であった。その後天文台が芸西に移って、主力機は口径60cmの反射望遠鏡と大型化したが、これもコメットシーカーには間違いなかった。それまで眼視では、気が付かなかった沢山の小惑星を発見したのである。中には彗星と判別が難しい天体が多くある。また双眼望遠鏡のいいところは、映像に立体感がある。月を見ても無限大との中間に浮かんでいるように見える。そのすばらしさには思わず息をのみ、恐ろしくさえなったものである。

(写真は、高知市時代の22cm反射赤道儀と、12cm双眼望遠鏡)


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