昔NHKのラジオ歌謡に「夕月の唄」というのがあった。まだ暮れ染めぬ夕闇の空に、まるで爪で跡を付けたような細い月が浮かんでいた。季節は秋なのか冬なのか、今の喧噪の世の中では考えられない、町の空には静寂があった。じっと三日月を眺めていると、抒情的な詩が浮かんできそうである。いま人の心を動かすような名作品が無いのも、そういった環境のせいかもしれない。

 7倍の双眼鏡で見て見ると、月の光と影との境に幽かに火口(クレーター)が
認められた。月のクレーターは、上弦の半月の頃、もっともよくみえる。天文台に見学に来た人が、一見して驚倒するのが月のクレーターの絶景である。
 多くのクレーターが、隕石の落下で出来たものであるが、大型の天体望遠鏡でみると、その多さに驚く。数百年昔に外国のお寺の尼さんたちが月が突然光ったのを目撃した。最近になって月ロケットが観察すると、裏側に近いところに新しくできたと思われる1個のクレーターを発見したそうである。 
 そんなことより、月はやはり詩的に眺めるのが良い。

(12月26日、2階書斎の窓から見た夕月)

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