今年の2月下旬には、夕空に輝いていた金星と、太陽系最大の木星とが接近して輝いた。この異常な現象は前回写真で紹介したが、その時ふと1946年の「南海大震災」の朝にも同じ現象が起こっていたことを思い出した。金星は太陽から最大離角の時には、マイナス4等以上に輝くので、もし太陽系最大の木星と金星が接近すれば、怪しいほどの巨大な輝きとなって天を圧するのである。
 1946年12月の大震災では、明けの空に薄雲を突いて、煌々とかがやく怪光に驚き、それは地震の時それを予報するが如く、特別に現れる星かと思ったほどである。当時中学生だった私は、天文に関する知識は全くなく、その怪しい星が何であったか、永い事分からなかった。

 今テレビ等の報道で、南海大地震に関する番組が多いが、1946年の南海大震災から今年で77年になるので、そろそろ次の震災が迫ってきているわけだ。
 今まで、南海大震災と思われる地震を調べてみると意外と多いことが分かる。即ち、西暦684年、同887年、1099年、1361年、1498年、1905年、1707年、1854年、1946年と9回記録されている。それらの周期は、最も長いもので262年。最も短いもので92年となっており、その平均は158年である。単に平均値から次を想定すると西暦2104年頃となり、まだ80年も先の事になる。また逆に最も短かい周期で行くと2038年となり、15年ほど先となる。しかしこれは、単なる参考資料であるから、決してこの数値にこだわることなく、常に大震災に対する防備を固めておく事が大切である。

 1946年12月27日の午前4時。寝ずの番?をしていて、南海大地震の一部始終をことごとく体験できたのは単なる偶然だったのだろうか。その日、明けの空に、薄雲を貫いてなにかを警告するかのように、異様に輝いていた巨星の現象は、いまでも私の眼底に焼き付いている。あれから実に77年。その不思議な星の大接近の現象を今度は夕空に見たのである。

(冬の天の川の中に輝く薔薇星雲/1986年、芸西の60cm反射鏡で撮影)
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