ここ南国高知市ですが、ようやく桜が満開に近くなりました。写真は、高知城を取り囲むお堀の中の公園の桜です。高知県では、この付近の桜が早いようです。
 お花見には非常に古い記憶があります。まだ幼稚園にも入っていない幼少のころ、母に連れられて、高知公園に花見にいきました。俗に「すべり山」と呼ばれる丘があって、沢山のぼんぼりが灯り、低い丘の上では、盛んに囃子立てて、大人たちの踊る姿がありました。
 帰りは母に手を引かれて監獄のある高い長い塀のそばの道を歩きました。その寂しかったことと、近くの溝で鳴いていた「キルギス」という、春の虫の音は忘れられません。

 芸西村の天文台でも、早春にこの「キルギス」は鳴いていました。4月には、たくさんの桜に取り囲まれます。秋になると、今度は”すずむし"や”くつわむし”に代表される虫たちがドームのそばの草むらで盛んに美声を競ったものですが、最近ではこれらの虫の音は全く聞かれなくなりました。どうしたことでしょうか。夏のホタルもいません。冬でもホタルの幼虫たちが、飛べずに草むらで青い光を盛んに明滅させていたのですが、いまでは全く見えなくなりました。大自然の不思議な変化です。
 (思い出しました!)1986年に回帰した「ハレー彗星」は、天文台の周辺で、盛んにすだく虫の音を聴きながら、必死に60センチ鏡をガイドして追跡したものですが、虫たちの大合奏の中で発見した、その懐かしい思い出も遠くなりました。
 秋になると、夥しい赤とんぼたちが、白亜のドームの上を盛んに旋回していた、あの光景をもう一度見たいものです。

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