かれこれ10年くらい昔になるだろうか?木星を撮影してみたら、そのすぐそばに、あたかも衛星の如く青い彗星が写っていた。随分後で気が付いたので、それが何の彗星なのか分からなかった。残念ながら日時がはっきりしない。
 その頃ルーリン彗星と言う、かなり息のながい彗星が人気を集めていたので、多分それだろう、と思ってOAA彗星課の佐藤裕久さんに聞いてみると、肝心のルーリン彗星は、確かに木星の近くを通過したが、木星には2度以内に接近していないという。写真によると、きれいに並んだ4個の衛星群の中に彗星が青く輝いている。左の端の衛星は二つが重なって一つに見えている。
 
 これが問題のルーリン彗星でないとするといったいなんだったろうと思う。色合いからして、木星のゴースト(幽霊)では絶対にない。本物の碧い美しい彗星である。もしかして、関第7番目の彗星だったろうかと惜しまれる。
 天体写真を撮影したら、位置と撮影の時刻をしっかりと記録しないといけない。この観測者の鉄則を怠った自分のミスだと大いに後悔している。

「おーい! ルーリン彗星よ。幻の関彗星よ。今いずこの宇宙を彷徨っているのだ!」
 私は、思わず虚空に向かって、叫んだ。

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