エンケ彗星(2P/1786 B1)は、ハレー彗星と共に最も古い歴史を持つ周期彗星です。周期はわずかに3年余。初めのころは1公転ごとに、僅かにその周期が短くなって、これは太陽系内の抵抗物質の仕業と考えられていましたが、今では、彗星が時々爆発的にガスを噴射するための「非重力効果」のせいと考えられています。しかし、その量は極めて僅かです。
 
 私が初めてこの彗星を観測したのは1950年の、パロマー山のミンコフスキー彗星(10等)のすぐ後で、8等星と明るかったものの、そのイメージの小さいのに面喰いました。先輩の本田さんには、眼視彗星の典型的なイメージで、それに習熟するように指導されました。
 この時、彗星を発見するためのコメットシーカーは、余程ピントの尖鋭な望遠鏡でないと発見が困難であると認識しました。ピントのシャープな望遠鏡は、星を見る人間の心まで引き締め微光星を発見し安くするのです。ここらあたりが彗星発見の微妙なところであり、また奥技と言えるでしょうか。

 添付した写真は、高知県の西部の山奥「天狗高原天文台」で、五藤光学の嶋邦博氏が撮影したもので、2023年7月18日、五藤光学製の口径45cmカセグレン反射望遠鏡を、使用しました。今の望遠鏡は当然のことながら、彗星の軌道要素を入力すると、自動的にその固有運動まで追尾してくれます。写真では、小さなイメージのシャープなエンケ彗星と同方向に運動する19等級のいくつかの小惑星まで写っています。五藤光学製望遠鏡の優秀さが分かります。
 つい先年、天狗高原の天文台を訪れた時、望遠鏡のボディに「サインせよ」と五藤信隆社長が言います。私はマジックペンでサインしましたが、これを見た人には天体発見の幸運が訪れるという神話?がはびこっているそうです。
 そう言えば、私の1,000個を超える小惑星の発見は、ことごとく五藤製の優秀な60cm反射望遠鏡によるものでした。

(写真は45cm鏡で捉えたエンケ彗星の光跡)

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