中秋の名月は厚い曇り空で、満月はおぼろげにしか見られなかった。夏が終わり、そろそろ秋に入ろうとするこの季節は、概して、お天気の悪い日が多い。
 仲秋の名月は、私の家から東南方向の筆山の上に輝く。目の錯覚か異常に大きい。それこそ”盆の様な月”である。
 
 月の名所は高知市の桂浜が有名であるが、15夜には、月は明るいうちにすでに東天に高く登っていて、海面から徐々に登って来るという風情がない。却って16夜の方がその情緒がある。大昔、天下の桂浜で16夜の月の出を見たが、折から拡声器で流れるベートーベンの「月光」のアダージョの流れに乗って、昇って来る月は見事であった。
 
 天体観測は、これに反して、明るい月光は曲者であるから、月のない闇夜を選ぶ。淡い彗星こそ、完全な闇夜でないと発見が困難である。
 添付した写真は珍しい「対日照」の光芒である。今の日本では見られる場所が限られてきた。芸西天文台が始まって間もなくの1978年頃、当地で撮影した。正体は無数の小惑星の集団の光芒と思われるが、空がよければ、意外に明るい光として天を圧するのである。今からが、このナゾの光芒に迫れるチャンスである。


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